スチールベルトの選定方法 | 技術情報
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スチールベルトの選定方法

許容引張応力よりスチールベルトを選定いたします。
この計算式を利用される場合は下記の点をご注意下さい。

  • プーリ径が板厚の500倍以上である。
  • 弊社スチールベルトを使用して頂く。(計算式自体は普遍的ですが、各数値は購入するメーカーにご確認下さい。)

また、この計算式はお気軽にご使用いただけるように十分な安全率を見ていますので、判定で使用不可になった場合でも弊社にお問い合わせ下さい。
厳密な計算にて最適なスチールベルトを選定させていただきます。

1. 有効張力を計算します

負荷トルクより

\(T_{e}=\dfrac {2000\times T_{r}}{d}\)
  • Te: 有効張力(N)
  • Tr: 負荷トルク(N・m)
  • d: プーリ径(mm)

搬送重量より

\(T_{e}=\dfrac {\left( m_{1}+m_{2}\right) \times \mu _{1}\times g}{\eta }\)
  • m1: ワーク重量(kg)
  • m2: ベルト重量(kg)
  • μ1: ベルトとベルト受けの摩擦係数(表.1)
  • g: 重力加速度=9.807(m/s2)
  • η: ベルトとプーリの効率=0.9
受け方法 摩擦係数
板支持の場合 0.3~0.6
ローラ支持の場合 0.05

(表.1)

2. 張り側張力を計算します

\(T_{t}=T_{e}\times \dfrac {e^{\mu _{0}\theta _{0}}}{e^{\mu _{0}\theta _{0}}-1}\)
  • Tt: 張り側張力(N)
  • e: 自然対数の底=2.718
  • μ0: ベルトとプーリの摩擦係数(表.2)を参照してください。
  • θ0: プーリに対してのベルトの巻き付け角(rad)
\(\dfrac {e^{\mu _{0}\theta _{0}}}{e^{\mu _{0}\theta _{0}}-1}\) の概略数値は(表.3)を参照してください。
ベルトの種類 摩擦係数 備考
スチールベルト 0.1 低発塵用プーリです
0.2 鉄鋼製のプーリで表面仕上げRa1.6での数値です
0.3 高摩擦プーリです

(表.2)

巻き付け角 摩擦係数
( °) 0.1 0.2 0.3
180 3.70924 2.14357 1.63843
175 3.79946 2.18761 1.66666
170 3.89503 2.23433 1.69666
165 3.99644 2.28397 1.72861
160 4.10423 2.33680 1.76267
155 4.21902 2.39312 1.79907
150 4.34151 2.45329 1.83803

(表.3)

3. 使用の可否を判定します

\(引張許容応力 \geqq \dfrac {T_{t}}{t\times W}\)
  • : ベルト板厚(mm)
  • : ベルト幅(mm)
となれば使用可能です。
SUS304H SUS632J1
未時効
SUS632J1
時効済み
SUS301EH SUS301H
許容引張強応力
(N/mm2
40 40 55 45 45