ヒューコンでは、洗浄性・耐久性、耐熱性に優れたステンレス製テープ(以下、ステンレステープ)や搬送ベルト(以下、ステンレスベルト)などを、食品工場や飲食店などに向けて提案している。
ヒューコンは昨年、業界初となる「粘着材が食品対応のステンレステープ」を開発した。さまざまな箇所に簡単に貼り付けられるため、例えば壁や床、装置などの穴やヒビ、隙間などを埋めたり、補強用途などに用いられている。
ステンレスは平滑で傷がつきにくいため、作業台や加工装置などの表面に貼ることで、清掃性の向上につながる(表面に付着した微生物や食物アレルゲンなどを確実に除去できる)。また、耐油性・耐湿性にも優れ、黒ずみや黄ばみが生じないため、衛生管理の面だけでなく美観(見た目のきれいさ)の維持にも貢献する。
食品工場や飲食店では衛生管理が重要である。衛生管理の徹底は、食品事業者にとってはSDGsの17の目標のうち「12.つくる責任 つかう責任」と関わる場合がある。施設や設備の清掃しにくい箇所(隙間など)を埋めることで、隙間などに汚染が発生・蓄積する可能性が排除でき、かつ表面の清掃も容易に行えるようになる。また、清掃作業の省力化・省人化、清掃時間の短縮、清掃に関わる作業負担の軽減などの効果も期待されることから、職業環境の改善につながると期待される。清掃作業の省人化が実現できれば、工場内で(作業者が)密になる状況を回避できるなど、新型コロナ対策としての有効性も期待できる。そのような観点でいえば、ステンレステープの導入は、SDGsの「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」などの面でも有意義といえる。清掃作業の省力化は、環境負荷の低減にもつながると考えられる。
なお、従来の金属テープは、決まった寸法しか販売されていなかったが、同社のステンレステープはユーザーが貼りたい場所に合わせたサイズ調整(板厚・幅)で製作可能である。最近は同社の鏡面加工技術を応用したステンレス製の鏡(姿見)の要望に対応したという。ガラス製の鏡は割れや欠けが生じた場合に異物混入につながる可能性があるため、ステンレス製はユーザーから好評である。
食品工場の搬送用ベルトは、一般的に樹脂製の場合が多いが、きちんと管理しなければ「洗浄後に汚れが残留する」「黄ばみや黒ずみが生じる」「ほつれが生じて異物混入の原因となる」などの問題が生じる可能性が指摘されていた。同社では、こうした課題解決につながるステンレス製のスチールベルトを提案している。平滑なベルトだけでなく、網状のベルトも製作可能である。
印刷用PDFはこちら
月刊フードケミカル2021年1月号掲載 記事の著作権は食品化学新聞社に帰属します。(本記事は転載承認を得ています。)
お問合せ |
TEL:045-624-9127 |