ステンレス スチールベルトは食品業界ではま だ認知度が低く、実際に使用されている場所もほ とんどないため、目にする機会が極めて低いベル トです。しかしステンレス スチールベルトはそ の特性から、他のベルトよりも食品搬送に適した ベルトと考えています。初めての方は、滑るので はないか、運べないのではないか、怪我が心配な どの声をいただきますが、実際にご使用いただい たお客様からは、高い評価をいただいています。 弊社は、高品質・高性能なステンレス スチー ルベルトの製造・販売を行っており、今後、 HACCP の制度化に伴い、衛生管理がさらに必要 となるため、ステンレス スチールベルトをご使 用いただくことで生産効率の向上と食品事故のリ スク低減を実現したいと考えています。 ステンレス スチールベルトの概要 弊社で製造しているステンレス スチールベル トは、主に SUS304 を使用していますが、特殊な 用途に関しては、表 1 の材料も使用しています。 この材料をベルトとして使用できるように冷間圧 延することでバネ性を持たせ、平坦性を上げる処 理をしています。また、ステンレス スチールベ ルトは樹脂ベルト、金網ベルトに対して表 2 の 様な特徴があります。 ステンレス スチールベルトの 優位性(一般)
・表面の凹凸がなく、食中毒の原因菌を簡単に除 去できるため、管理が容易になります
・ベルトの耐熱 / 耐薬品性が高く、オゾン / 紫外 線 / 次亜塩素酸ナトリウム等のあらゆる殺菌 方法でご使用できます
・金属で硬いため傷が付きにくく、菌が隠れる 場所ができず、付着した場合でも簡単に除去 / 殺菌が可能です
・油や水分の染み込みがなく、黒ずみや黄ばみが ないため衛生的です ◦ベルトが万が一欠けた場合は金属探知機で検出 が可能です
・耐油性と耐湿性に優れ、膨潤による劣化がなく 長寿命です ◦ベルトへの染み込みがないため、ベルト上での 液体の噴霧作業を行っても簡単に除去ができ、 作業の効率化が図れます
・洗浄により、ベルト表面に付いた食品や油を簡 単に洗い落とすことができます。また、乾燥 は拭き取りだけで済むので、洗浄時間の短縮 ができます
・付着しやすい製品はスクレーパーで簡単にかき 取ることができ、作業効率が向上します。
一般用途 | SUS304 |
耐食性が求められる用途 | SUS316 |
耐熱用途(熱膨張率が低い材料) | SUS632J1 |
高負荷用途 | SUS301 |
高温 | 低温 | 耐油 | 耐薬品 | 清掃性 | 傷 | 振動 | |
スチールベルト | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
樹脂ベルト | × | △ | △ | △ | 〇 | × | 〇 |
金網ベルト | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | × | ◎ | × |
・剛性が高く伸びないため、高速運転が可能とな り、作業効率が向上します ◦熱伝導率が高く製品の冷却を早く行え、作業効 率が向上します
・テフロン加工(フライパンと同じ)をベルト表 面に施すことが可能で、もち等の粘着性の高 い製品も簡単に除去できます
・ベルトに帯電しないため、オブラートの様な薄 い製品や粉体などの搬送に適しています
・振動が極めて少なく、画像検査用の搬送ベルト に適しており、目視検査工程の省力化に向い ています
・ベルトの厚みムラがなく、製品の高さ測定を厳 密に行えます ◦ベルト上で製品を整列しなおす事が容易にでき ます、また摩擦が低いため、製品へのダメー ジがありません
・冷凍用の搬送ベルトとして、極低温での使用が 可能です
・焼き工程の搬送ベルトとして高温での使用が可 能です
弊社のステンレス スチールベルトは電子部品・ 製薬などの製造工程で使用していただいていまし た。それは、その他の搬送システムと比べても高 いクリーン性を維持できるからです。近年、食品 業界でも異物混入や食中毒などの問題から一般消 費者からの衛生管理への関心が高まっていると思 います。クリーンルームの技術が食品工場にも多 く転用されているようですが、搬送用のベルトコ ンベヤのほとんどは未だに樹脂ベルトです。
そこで、弊社のノウハウを食品工場にも生かす ことができれば、HACCP 構築への御協力が出来 ると考え、食品製造装置メーカへの紹介を続け てきました。後程紹介する実績の中で食品工場 全般にステンレス スチールベルトをご紹介する メリットがあると考え食品製造装置メーカの協力 もいただきながら食品工場全体にステンレス ス チールベルトを紹介していきます。
用途
◦ハンバーグの成形工程における搬送
◦レーザー光による下紙の切断
ステンレス スチールベルト導入目的
◦レーザー(熱)による切断にてベルトが溶けな いこと
◦刃物によるカットは紙粉が発生し、ハンバーグへの付着するため、その防止でレーザーカッ トを採用。また、樹脂ベルトでは熱により溶 けて切断してしまうため、ステンレス スチー ルベルトを採用
◦ハンバーグの油分を簡単に除去が可能であること
◦振動が少なくハンバーグの型崩れが防止できる こと
◦樹脂ベルトからステンレス スチールベルトへ の乗り移りがスムーズに行えることが採用条件
導入効果
◦ベルトが伸びず、瞬時の起動と停止が可能にな り作業速度がアップ。ベルトに油が浸透しな いことで、予想以上に洗浄作業が短縮
ベルト寸法:0.15t × 165W × 1,265L
用途
◦ハンバーグの冷凍工程における搬送
ステンレス スチールベルト導入目的
◦- 40℃の冷凍庫内にてハンバーグを冷凍して 保管を行うため、樹脂ベルトでは使用不可能
◦平ベルトにより付着物の落下防止目的(清掃時 間の短縮)
導入効果
◦金網からステンレス スチールベルトにするこ とで、付着物の落下が減少し作業効率がアッ プ
◦金網の擦れる音が減少し、職場環境が改善
ベルト寸法:0.6t × 450W × 23,350L。
大型コンベヤのため客先工場にて溶接加工を実施
用途
◦クッキー・ビスケット・マカロン等のお菓子表 面に食べられるインクにて、写真・イラスト・ 文字の印刷を行う装置
ステンレス スチールベルト導入目的
◦ベルト上に付着するインクを簡単に除去できる こと ◦食品の直載せ搬送のため、衛生的であること
◦インライン型で高速印字が必要で、ベルトが伸 びず高い応答性であること
導入効果
◦ベルトの板厚が均一で振動がないため印刷ムラ が減り、画像が綺麗に仕上がった
◦ベルトスピードを上げる事で業界最速の印刷ス ピードを実現
◦ベルトの清掃時間が予想以上に短縮でき、生産 性が向上 装置特徴
◦複数データの同時印刷が可能
◦ 最 大 印 刷 速 度 50 m / 分( 解 像 度 300 × 438dpi)を実現
◦ヘッド駆動は± 0.01 ㎜精度の 2 軸アクチュエー タを採用し、タッチパネルによるオートメー ション化で高い操作性を実現
◦インクと洗浄液は液送ポンプで自動化し、イン クが無くなると警告を表示
◦ヘッド乾燥を防ぐヘッドキャップシステムを搭 載し、無駄なヘッドクリーニングの必要がな く、生産性の向上とプリンターヘッドへのダ メージを最小限化
◦インクは天然・合成から製品にあった選定が 可能
ベルト寸法:0.15t × 150W × 3,157L
用途
◦ベルト上で様々なワークを潰し、乾燥させる装置
ステンレス スチールベルト導入目的
◦ベルト上でワークを潰すため、潰す圧力に耐え られるベルトとしてスチールベルトを採用
◦食品の直載せのため、高い洗浄性と衛生管理が 容易であること
◦無数の小さい穴が必要なため、剛性が高く伸び ないこと
導入効果
◦潰すことにより食物の繊維がでてしまうが、一 枚の板のため、繊維がカラミにくく洗浄時間 の大幅短縮につながり生産性がアップ
◦潰し工程の圧力が上げられるようになり、脱水効果が上昇
◦出てきた水分がベルトに浸透しない為、違う ワークを流しても臭い移りがなく、製品の品 質が向上
◦ワークがベルト上引っ付かず、生産性の向上に 寄与
ベルト寸法:0.15t × 350W × 4,255L
用途
◦幼稚園用のお弁当の詰め込み搬送用 ステンレス スチールベルト
導入目的
◦清掃を容易にすることで作業効率の UP を目的 として、ステンレス スチールベルトを採用
◦専用設計のため樹脂ベルトコンベヤでは価格が 高く予算に合わなかったことから、ステンレ ス スチールベルトコンベヤを採用
導入効果
◦洗浄が予想以上に簡単になり、洗浄時間を大幅 に短縮が可能になった
◦ベルトの厚みがないため段差がなく、お弁当作 り以外の際には、野菜のカットなどの作業台として使用が可能となり、省スペース化に寄与
ベルト寸法:0.2t × 350W × 6,115L
カレー粉の搬送
用途
カレー粉の搬送
ステンレス スチールベルトの導入目的
他の製品を搬送した際に臭い移りしてしまい、カレーの風味が変わってしまうため、ステン レス スチールベルトを採用
◦スパイラルコンベヤでは商品が変わる度に、搬 送ができないカレー粉が残ってしまい、食品 ロスが大きいため、ステンレス スチールベ ルトを採用 ・帯電すると爆発のリスクがあるため、帯電しな いベルトとしてステンレス スチールベルトを 採用
導入効果
◦臭い移りがなく、商品の品質が安定
◦ベルトが帯電しないためカレー粉が付着せず、 清掃が容易になり、作業効率が向上
ベルト寸法:0.2t × 300W × 6,355L
ステンレス スチールベルトに関す問い合わせは、㈱ヒューコン(神奈川県横浜市西区戸部本町45-1 ながせビル3階、TEL 045-624-9127、FAX 045-624-9218、Eメール:main@hucon.co.jp) まで。 |
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